今日の音。「Goo Goo Dolls」 “Iris”
この曲が今の心境に一番近いかもしれません…。 まあそれはいいとして。 満月綺麗ですね。 ちなみにタイトルはわたしが勝手に「おじいちゃん」と呼ぶ植草甚一氏の『鬼平 対 甚一』をもじってみました。(自分でばらすとださいのだが、タイトル通りの展開ではないので反省をこめて) 昨日、『Park Hyatt(パークハイアット)』でのとある化粧品お披露目会に呼ばれていたのでぐいーんとタクシーを飛ばし、久々Park Hyattに行った。 お披露目会はすぐ終わり、わたしは『The Peak Bar(ピークバー)』で一杯ひっかけてから帰ってパーティ参加の準備しよ、と上に行ったら『The Peak Lounge(ピークラウンジ)』しか開いておらず、お姉さんに、先生の家の方角が見えるところがいい(こうは申しておりませんが)とわがままを言い、日よけまで上げてもらい窓際に座った。 先生の家の方角は『梢(こずえ)』からよく見えるのだけど、 「どうしても景色が見たいんです!」と梢のスタッフにわがまま言うわけにもいかず(でもしたかった)、もしかしたら先生ちらっとでもPark Hyatt見るかも、なんてロトに当たるより低い可能性を考えて嬉しくなりながらワインを飲んだ。 今の季節のラウンジは太陽が沈むのが見えてとても綺麗なのだ。 わたしは青春時代(18から24までをわたしは青春だと思っています)銀座で働いていたので、普通の人のように友達とたくさん会ったり一緒にいてずっと何もせず時間を潰す、ということをしなかった。 お店に出る前や仲の良いお客さんとの待ち合わせをよくここでして、1人ぼけっと太陽を見ていた時があったのを思い出して感慨深かった。 あの頃は忙しくて、目の前のことが見えていなかったり、綺麗な景色を見て落涙することもなかった。写真を観るような感覚だったのだと思う。 金曜日、あの日の太陽は本当に綺麗で、雲が姿を変えたなびくところに、だんだん橙色のしずくとなって沈む太陽。 涙がじわっと出てくるくらい綺麗だった。 ここで待ち合わせをしていて、今から先生が現れたら、わたしは世界で一番幸福な女の子だなあ、なんて考えまた涙がじわり。 結局18時、完全に太陽が沈み空が薄桃色になった頃、やっと席を立った。 その間ずっと空を見ていたわけではなく、ねえさん(表現者)から 「多分凛ちゃん嫌がると思うんだけど、わたしはいい意味で似てるところがあると思うの」 と言われた本『アッコちゃんの時代』とlonely planetの『Kenya』を持参。 ねえさんに言われた時 「林真理子ですか? わたし苦手なんですよね…」(やっぱり! と言われたが) だったくせに、読了した昨夜、 「ねえさんの言っていた意味が、わかる…」へと変化してしまった。 『アッコちゃんの時代』であるが、帯に“バブルの時代、金と力を持った男たちを次々と虜にし、伝説となった女がいた”とある。そして文中の言葉引用で “「男を奪ったことなど一度もない。男がわたしを求めただけ」” …。 わたしは買うのを本気でやめようと思ったのだが、どこが「似ている」のか気になり購入してみたのである。 「男がわたしを求めただけ、なんて林真理子よく書けるぜ。こんぷれっくすだね」と悪態をつきながら読書開始。 ほとんど彼女の願望と、多分周りにいる美人への嫉妬、そしてちょっと遊んでれば誰でも知ってる店、彼女がして欲しそうなこと、が書いてある。 「別にイ」「へえー」「いやーだ」…。 わたしは上記の語彙を持つ女が嫌いだ。男も。 「○○よォ」とか書く人も嫌い。「へえ」、または「へー」(呆れているニュアンスがよく出ていると思う)なら許せるが「へえー」って間延びしてて馬鹿さを露呈していると思う。 「いやーだ」。いつの時代だよ。 林真理子の本を読んで感動する人もいるのであろうが、わたしには理解不能。 どこが似てるのかを探すため、超速読したのだが、もー真理子女史の願望とか「いい女ってこう」とか、「おっぱい大きいと下品」とか(悪かったなてめえ。そういうこと言うからその価値観が幅を利かせてくるというのに)、やりたい放題。 編集者もすごいわ。 で。 白ワイン3杯(多分ボトルで頼んだ方がよかったかもしれない)をゆっくり飲んで読んだ結果、 やっぱ「ちょっと似てるところはある」。 主人公の「アッコ」(なんてセンスのない主人公の名前であろうか。→かわいい呼び名だからだってさ。現実の世界のアッコさんには申し訳なく、また関係ないのであるが、小説という非日常で「アッコ」という字面と音感を持ってくるところに彼女のセンスのなさを感じる)さんは男の人と好きで付き合ったことがないんですね。 それに、「美人」だからみいんなよくしてくれるし、付き合うのは有名人だから彼女も週刊誌に載っちゃったりする。 貢物と夜遊びで生活、水商売などにはいかない。(綺麗な女が自分の価値をお金に変えないと男はそれを手に入れるために何でもするんだって) モデル事務所にもいたけどあんまり仕事してない。 わたしだけにポイントがあるのではなく、多分一流でないモデル、または水商売経験者ならみんな心に「似てる」とどきっとするポイントがあると思う。 一流だとおおっぴらにでーとは不可能、夜遊びしすぎると面が割れる。 水商売経験者はおじさまたちによいところに連れて行っていただきそこで自分の基準が作られる。 そこそこ遊んでたりすれば男の人から旅行代出してもらって何もなく遊びに行ったりするし、空いている部屋に住んだりしちゃうんだってば。 だって楽だし、くれるんだもん。 わたしは愛人経験もあり、しかも銀座にもいたため林真理子が言わんとする生活はよくわかります。が、美人じゃなくたって可能。 そして「だって楽だしくれるんだもん」とわたしも書いたこの台詞、主人公の「アッコ」もこんな感じなのである。 しかしわたしと「アッコ」が違うのは、ちゃんと好きになることと、やりたいことがあることである。 自分の美を武器に、(と自分では思っている)某企業社長の愛人になりその時一番高かったマンションを買ってもらった女の子がいた。わたしの1つ下だったその子。 結局登記を見たら(それすらしてない頭の子だったのだけども)彼女名義ではないし他にも女はいて、あっさりその子は捨てられた。残ったのは19の年齢にそぐわない『HERMES(エルメス)』の地味な服くらい。 「これからどうするの?」 「わかんない。新しいパパ探す」と銀座にその子は銀座に戻った。今は何しているのだろう。 某議員の愛人として赤坂の宿舎に住んでいると噂で聞いたが、あのままなのかな。 そういう女の子は目先のことだけ見ていて、その時は若いし化粧すれば美しく見えるし良いのだろうが、年を取り、若さも外見だけの美しさも色あせた時彼女達はどうするのだろう、とわたしは本気で心配したことがあった。 本当に綺麗な子は賢くて、寄って来た男はいずれ去ってゆくということをわかっていたから勉強したり興味のあることに没頭したりして今ちゃんと自立している子が多い。 そうでない子は、そろそろ30に手が届く頃。外見だけじゃカバーできないし、 「わかんなーい」と言って許される年ではなくなっている。殺される年である。 わたしに話を戻すと、好きになった人に妻がいるということが多く、また銀座で出会うので年上、社会的信用のある人が多かった。 金目当てなどではなかったが、周りから「若さを棒に振ってる」「あんなおっさんのどこがいいのか」などは毎日言われた。でも好きだったのである。 その人たちと一緒にいたおかげで、わたしは生意気さに磨きがかかり、美味しいものも随分覚え、いろんなことを勉強させて頂いたが、「アッコ」とは違い、ちょっと興味があって付き合って、何の仕事もせず遊んで暮らすというのはいやだった。 確かに「仕事辞めちゃえよ」「学費は俺が出す」「家賃も出すよ」などといろいろ言っていただいたが、それだったらもっと一緒にいたかったし一緒に美味しいものを食べるという有意義なことに使って頂いた。 いくら出してもらった、何を買ってもらった、というのがお店の子たちの自慢だったところもあったが、わたしは迎合できなかった。 しかし、今のわたしは違うのである。 読み終わって目の前が真っ暗になったのは、「わたしの未来もこうなる可能性がある…」と気がついたからである。 現に今の彼にわたしは最初から恋心を抱いていなかった。 その時付き合っていた京都氏とはもう終わりだなあ、そうしたいなあ、と思っていたのだがふんぎりがつかず、そこに現れしつこくご飯に誘ったり飲みに連れて行ったのが今の彼である。 「この人とだったら結婚してもいいかもなあ」と思ったこともある。 そして元お客さまのヒルズ氏(ビジネス系物書き。超かっこつけのおじさん。でもBRIOレベル…)とアークヒルズでランチした際、わたしは「結婚に向いているかも」なんて口走っていたらしい。この間六本木ヒルズクラブでご飯を食べた際 「お前あの時そう言ってたぞ。小松おかしいなーって思ってたんだよ。そうかそうか、戻ったな。よしよし」と彼は嬉しそうにわたしの結婚否定発言を聞いていた。 今の彼とだらだら→結婚してもいいかも これはこわい。この考え方の変化はおそろしい。 しかし一時期本当にそう思っていたのだ。 某出版社ですごいストレス後、知恵熱みたいに熱が下がらずそのまま胃潰瘍、仕事を辞めてからきちんと働いていない。 彼のお金で生活してきた。 「アッコ」が最初に掴まえた金持ちおっさんのように今の彼は1人で朝まで(朝まで1人ってことはないので心配するんだろうけど)飲んでいると、わたしが行きそうなバー、レストランなどに片っ端から電話をかけ、その時間外にいそうな彼の友人らに電話をし、わたしがいないか調べる人なのだ。 連絡をすれば何もないが、しないとこう。 たまには門限のあるお嬢さんみたいに電話しないで遊びたかったりする。 そんなことも本には書かれていてぎくっとした。 違うのは「美人」という点である。 そして彼女は何もしないで遊んでいられる人だということ。 わたしもずいぶん甘やかして頂きましたが、もう飽きました。2年くらいで十分です。 心が退化します。自分のお金で友達と飲みたいです。本も買いたいです。旅行も行きたいです。ドラミにおもちゃ買いたいです。 しかし、わたしが目をつけている社会復帰の現場は、多分原稿料が相当安いであろう某メディアと、銀座なのである。 わたしって結局銀座で働くくらいしか出来ない女なのか、と夜中とても悲しくなった。 言い訳には、塾が週2日とゼミがあるので、働くとしたら銀座くらいかな、ということなのだが、戻ったらまたいろんな人間関係に巻き込まれて、昔みたいに疲れてしまうと思う。 何の感情もないお客さんがお金を出してくれて旅行とか、みんなで行くんだろうし、(やっぱ旅行は行きたい。好きな人と行くのが最高だけど)人間的に魅力を感じても恋愛的には皆無、なお客さんと空の見えない暗いバーで飲むんだろうし。 働かないと逃げ場がなくて、息が詰まりそうなのだ。 教職のために秋から夜大学通うし、忙しいけど家にいたくない。 ここで誰かが「空いてる部屋あるから貸すよ」って言ったらわたしはそちらに行ってしまいそう。 そこには何の感情も思惑も(向こうのことは知らん)ないのだが、やっぱりそれを知ったら男の人はいやがる。 でも週2回程度の銀座出勤ですぐ引越し費用などが貯まるかというとそうではない。 どうにかなると思っているけれど、考えると怖い。 「アッコ」みたいに「まいっか」が一番簡単。 でもわたしには今好きな人がいるのだ。その人と連絡取れないけど。声も聞けないけど。 楽に進もうとすればいくらでも道はある。 でもそうしたくない。 今の状況は「まいっか」が招いた悪い意味でのたまものなのだ。 ねえさんが言った意味がわかる。 林真理子がどういう思いで書いたのか知らないけど、本当にちょっと遊んでれば知ってることとか経験することだけ書いてある本である。 が、そこに陥りがちな女の子の真理も出ていて、でも作者の考えがわからなくて困惑。 また、林真理子の価値観を「世間」とすると、「世間の方々は水商売の女のことをこう思っていたのか」と今更ながら気が付くことがあり、内容的にはつまらなかったのだがぎくっとすることが結構あった。 そして、『青山ブックセンター』で平積みになっていながら最後1冊だったことを鑑みると、世の中結構こういう生活をする女に憧れる子もいるのかも…。それが一番怖い。 ちょっと読んで、景色を見て、先生の家の方向を無理やり見ようとしたり(そのために眼鏡持参)していたのだが、そういえば銀座時代いろんなことがあったよね、Park Hyattにもいろんな人と来たよね(食事&飲みに)、と懐かしかった。 何の成長もしていない気がしたし、先生のことも悲しいし、これからもうパーティなんて行きたくない、でも日は沈んじゃうよお、とアルコールによって無駄に開かれた涙腺は刺激をばしばし受けて大変なことになっていた。 帰り道のタクシーの方と今日の夕焼けの話しをしつつ、「どのコースで参りましょうか」と聞かれたので「綺麗なところを通って帰りたいです」と言ったらにっこりされた。 とても素敵な人で、40歳で10歳年下の女性と結婚されたのだそう。 「もてたんですね。素敵」 「ええ、もてたんですよ」 なんて台詞も嫌味でなく、本当に素敵な人だった。 昼下がりからワインを飲んで夕焼けを見るなんて贅沢ですね、と言われたので、失恋したんですよ、と告げると 「焦っちゃだめですよ。変なの掴まえますからね。じっくり見て選んで下さい」 とゆっくりした口調で娘に言うように言われた。 まだ好きなんです、と言うと、そうですよね、すぐには無理ですよね、としみじみ言っておられたが、もう言葉が続かなかった。 見知らぬ人の温かい言葉は心の膜を破るのだ。 「好きならとことんですよ」 と表参道の交差点で降りる時、運転手さんはそう言っておられたが、笑うだけで何も言えなかった。 とても気持ちのいい時間を過ごして、素敵な人とお話しをして、何でこのまま好きな人に会えないのだろう。 『PRADA(プラダ)』の前を通りながらむなしくなり、1人でどこか行こうかな、と魔が差した時彼から電話が入った。 こうして何となく彼の目の届く範疇にずっとおいて置かれるのか、とてもいやだ、逃げたいなあ、本気で思った。 寄って来た男と付き合って人生終わることもできる。 でも、それってどうなんでしょう。
by rinkomatsu
| 2005-09-17 20:55
| 日々の生活。
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