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Mr. Texasについて。
今日の音。「Dashboard Confessional」 "Don't Wait"

もうこの曲を聴いた回数も263回を数えました。暇ですねー。『iTunes』はカウントしてくれるので便利です。

Mr. Texasとわたくし、なのですが。
最終日のパーティ、フロアメイトたちと一緒に『Luce Hall』へ。わたしはBallに出られるようなドレスを着て参上。理由はBirthday Girlだったのと、そのドレスを見たフロアの子たちが
「絶対それで行って!」と主張したことから。
Mr. Texasは結局水曜日も電話して来ず、わたしやじゅりー(ドイツ出身)やじぇんとるくん、おりびえ(フランス人。学校経営者)などで『Bar』へ。ギターのお兄ちゃんがライブをしていたので聴き入りながらお酒を飲んで楽しんだ。

そしてパーティ当日。
大学生・高校生が半数なのでみんなドレスで参上する女が珍しかったらしく写真一緒に撮ろう攻撃に。他にもぱらぱらドレスの子はいたのだが、学生とかなり接する機会が多くいろんな子を知っていたわたしは引っ張りだこ状態。クラスメイトともあまり話せぬまま、モデル再び? な気がしてきた頃、やっと抜け出して一息ついたら会場にMr. Texasを発見。気まずい、とソファのほうに逃げてちょっとぼうっとしていたら彼がやって来た。

ドレスなどをほめてくれ、電話できなかった理由などを話してくれた。
「嘘つき」というわたしに彼は「君を裏切ったことは1回もないよ」
ふうん、他の人はあるの? とあげ足を取りそうになったが彼は自分の小指とわたしの小指を結んで「promise」と。アメリカ文化でも指切りげんまんがあるのか! と驚いた。

毎年友達と夏にどこかの街・都市へ出かけているという彼。去年は500ドルと車だけでNew YorkやSan Franciscoなどに出かけたのだという。
衛星(サテライト)関係の勉強をしている彼、『MIT』に入りたかったのだそうだ。しかし彼の両親はMITの名を聞いたことがない「かなり変わってる」(彼談)方々だそうで、入試のお金も高いし、3人兄弟の末っ子。ということで奨学金のある大学に入り、成績優秀者交換プログラムみたいなもので東部名門大学入りを狙っているらしい。

立ち話しから席へ移動を促し楽しい会話をしていたところ上海出身でスイスのボーディングスクールに通っている男の子でわたしのむかーしの彼氏にそっくりな奴が会話に加わりかなりむっとするわたし。場の雰囲気が読めない奴が去った後、飲み物を取りに行きまた話していたのだが、流れで人の少ない3階へ移動。兄弟のことやこれからのことなどをいろいろ聞いた。
来年彼と友達は日本に来ることを計画しているのだそうだ。
「その時に一緒に映画に行ったりごはんを食べに行きたいから、連絡先を教えて」と言う彼。
そして早口でいろいろ話す姿はとてもかわいかった。
ちなみに中国語をいろいろ教えてくれたのだが、6週間でここまで話せるものかと驚いた。漢字まで書けちゃうし。

彼の友達が「行こうぜ」と何度も迎えにくる中「one minute!」と言いつつ20分以上話していたわたしたち。彼の友達は呆れていた。

いきなり階下がうるさくなり、吹き抜けから下を覗くと個性的な発音指導をする先生が独特の身振り手振りで発音指導を再開。動作がかなり個性的なので、先生の真似する学生が多かったクラスなのだがここでもスペインの子たちが率先して真似をして会場は大爆笑。
「そろそろ行かないと」と立ち上がったMr. Texasは手を差し伸べてわたしも彼の手を握ったのだが、顔をじっと見るだけで何も言えなかった。
「何を言おうとしているの?」と聞くMr. Texas。そんなこと言えるか。
わたしは彼の手を引いてキスをした。

階下に戻ると彼の友達が待っていて、わたしはまたすぐ写真撮影会に巻き込まれ離れ離れに。
わたしは1時間以上彼と話しができたのでとてもうれしく、じゅりーはすぐにわたしを発見、アイコンタクトで何があったのかわかったらしく微笑んでいた。

その後パーティが終わる前に会場を後にし、『Bar』へ。わたしは
「2時頃にはプロジェクトが終わると思うから、その頃電話するね。『Bar』にきみがまだ居たら行く」と言ったMr. Texasの電話番号を携帯に登録しておらず、念のため部屋に取りに行くことに。
Barでロングドレスを汚されたくなかったので、『Diane Von Furstenberg(ダイアンフォンファステンバーグ)』のタンクワンピースを着て行った。

それからお仕事で日本とお電話、また、San Franciscoからその日New York入りするはずで数日連絡のない同居の彼へ連絡を取ろうと頑張りワインを1杯しか飲んでいなかった。
結局同居の彼とは無事連絡が取れ(わたしの携帯に何度かかけたのだが繋がらなかったらしい。謎。)ほっとしていたところ1時になりこの街でお酒を提供することはできない時間に。
実はこの日、絶対盛り上がるから1時以降は部屋で飲もうとワインを2本買って冷蔵庫に入れておいた。わたしの誕生日パーティ兼さよならパーティを部屋で、ということだったのだがじゅりーはお目当ての彼とうまくいかずやけ酒をして酔っぱらい、他の子たちも酔って知らない人のHome Partyへ行くと言う。わたしは怖いのでじぇんとるくんと帰ったのだが、たった2人でも飲みたそうにしていたじぇんとるくんを諫め部屋へ。
荷造りを始めつつ、Mr. Texasからの電話を待った。

結局電話は来ないと思っていたのだが、電話は来た。そして
「きみの部屋に行きたい」と言う奴。このフロアは女の子だけだし、もし見つかったらいやだし、まだみんな帰ってきていないし部屋汚い! とかなり抵抗したのだが
「ぼくの部屋は暑いしほんとに汚いから」と言われしぶしぶ了解。そして彼はやって来た。

彼はいろんな意味で19歳で、matureでした。
夢は、いつか衛星ビジネスで大金持ちになったら安い土地を広大な面積購入、小さい掘っ立て小屋を表面真ん中に建て、地下にマンション(豪邸)を建設。友達を掘っ立て小屋に1度呼び、ほとんどの人は断るであろう2度目のお誘いに「行くよ」と答えた人だけにぱかっと地下への入り口を開けてマンションにご招待することと、政治家になること。政治家といっても、マルコムXやキング牧師のようなパブリックスピーカーになりたいのだそうだ。
「2人とも射殺されてるんですけど」
「なんでだかわからないけど、小さい頃自分は射殺されて死ぬんだろうなあと思ってたんだよ」
という彼。そんなのやだなあ。

次の日がFilming Class最終日で課題提出のため「寝られないと思う」という彼。1時間30分くらいわたしの部屋にいて、下まで一緒に行くというわたしを制し去って行った。
新品で、もう使わないファイルやノートブックをあげたのに忘れていったし、わたしにCDを返すのも忘れていた。

「ちょっとこんなのってないよね。お互い違う国に住んでいて年も違うし言葉も違う」と彼。
「君のことは忘れない」なんてさ、19歳だもん忘れるに決まってるじゃん。
お誕生日おめでとう、と言ってくれ「29歳には絶対見えない」とほめ(?)られた。
パーティでのドレスがいたくお気に入りだったらしく、まだいろいろ言ってくれたし。
「あなたのことがもっと知りたかったし、話したかった」と言うわたしに「ぼくも君の横に座って話したいよ。でも君は明日去るんだよね」。彼は土曜日までこの街にいるのだ。
わたしたちは最初会った時のことや、どんな課題を提出するのかなどを話した。ほとんど彼が話していたけれど。わたしはただ、その瞬間を忘れないように彼の顔をじっと見ていた。

プロジェクトに戻らないと、という彼とハグをして、わたしはまだじいっと彼の顔を見ていた。どんな顔をしていたのかわからないけれど、「そんな顔をしないで。行けなくなる」。
だったら行かないでよ。
だって何も言えないもん。
どんな言語でもこの瞬間のわたしの気持ちを表現する語彙はないよ。
そして、「明日もし会えなくても、メイルで話せるよ」これが最後の言葉。

次の日、ほとんど人のいないダイニングホールで朝食を取ってinformalなクラスを開催するという先生のクラスに行ったら誰もいなかった。メキシコ出身の男の子に聞くと、もう教授は去ってしまったのだという。この日15時までクラスがあるというMr. Texas。もう会えないなあとがっかりして部屋に戻って荷造りをし、じぇんとるくんから預かっていたチョコレートを渡しに階下へ行ったのだが全然現れないので1度部屋に戻った。
空っぽの部屋がなんだか今の心境をとてもあらわしている感じがして、何度も泣きそうになった。何でなのかな。会える可能性がほとんどないからかな。
じぇんとるくんから電話があり、階下に戻ってハグなどをしていたところ、Mr. Texasがやって来た。いつもじぇんとるくんといると彼に遭遇することが多く、そのたびじぇんとるくんには申し訳ないのだが彼が居なければもっと話せるなあ、と思っていた。

Mr. Texasに会釈だけはして、じぇんとるくんに「じゃあ」と言ってドアを開けたわたし。
外は大雨で、その時『Star Wars(スターウォーズ)』Tシャツに白いデニムスカート、ウエスタンブーツといういでたち。パーカーなど羽織る物を持っていなかったのでちょっと躊躇したのだが3歩歩いて彼が座ったダイニングホール入り口のソファへ戻ろうとすると、ドアの反射で彼がこちらにやって来るのが見えた。
課題はどうだった? とかルイジアナに向かうんだよね、とか、スターウォーズ観た? とか本当に普通の会話をした。「昨日は寝てないんだ。中国人の友達が来て物を受け取ったらすぐ寝る」。
わたしの迎えの車は大雨のため、かなり遅れていた。この時ほど「迎えの車が大雨で来れなくなって彼と一緒に1日いられたら」なんて馬鹿なことが現実になるのを願ったことはない。
ウエスタンブーツをほめてくれたり、ちょっと発音が間違ったら「技術的に間違ってないんだけど、そういう言い方をするとわかんない。例えばこう」とやんわりわたしを笑いものにしていた。
「日本に行ったら絶対会おうね。行く前に連絡するけど」。その前じゃなくても連絡したくなったらして、と言いたかったのだけれど言えなかった。

ハグをしたらぐわっと彼の肩くらいまで持ち上げられた。
「昨日も中国の子たちにしてたよね」
「うん、小さい人たちにはする」
背も高くがっしりしている彼。わたしが持ち上げようとすると「無理だよ」と笑っていたが本当に無理だった。
この時が永遠に続けばいいのに、と彼の顔を何も言わずじっと見つめた。
その時彼が何か言っていたが聞こえなかった。
「何言ってるかわかった? その顔じゃ理解したのかしてないのかわかんない」
多分わたしは泣きそうな顔をしていたのだと思う。
何か言わなきゃ、と思っていたら「あ、来た」中国人の女の子がやって来た。
わたしは「あなたに会えて良かった」や「またいつか」が言えないまま、そのままその場を去った。
どうやって部屋に戻ったのか覚えていない。
雨の中戻ったのかな、地下を通って塔に入ったのかな。
ただ虚無感でいっぱいで、部屋に戻って二日酔いのじゅりーに話しを聞いてもらった。

電話する、と言っていても課題のため連絡もしなかった奴。メイルなんてまめなことをしてくる訳がない。「真夏の夜の夢」だね、とじゅりーと話していたのだが、わたしはまだ信じたくない。
そして迷惑を承知で「CD返してくれなかったね」とメイルを書いて冷静になるであろう明日、添削をしようと思っている。「あなたに会えて良かった」さえも言えなかった自分が嫌だから。
一緒に撮った写真も送りたいし。(クラスメイトの台湾男子が一緒に写真を撮りたがり、なぜか3人で撮ったものしかない! あいつめー。)
多分返事は来ないし、来年の夏も会えるかわからない。
なんで最後にこんな事になるんだろう。

New Yorkの街を歩いている間も、ごはんを食べている間も、タクシーで移動してる間も、わたしは彼に何を言おうか考えている。たった1回のメイルを印象深くしたくて、自分の言いたいことを伝えたくて、自分のしたことを正当化したくて。
ただ「好きだよ。会えて良かった」だけが言いたいのに、ずるいことを考えている。

Mr. Texas、わたしはあなたの夢が叶うことを真剣に祈っています。
いつかあなたの成功を『Time』や『The New York Times』などで見ることも楽しみにしています。
6週間、どきどきさせてくれてありがとう。あなたのおかげでわたしはずいぶんいろんなことから救われたんだよ。
Don't Wait、まだ飽きない。そろそろ300回を数えるのにね。
無事おうちに帰ってね。素敵な女の子と付き合って成長させてもらってね。あなたは絶対もっともっと素敵な男性になるから。
今までありがとう。あなたは今でもわたしのeye candyだよ。写真の中でしか会えないけど。
いつかまた、どこかで会えるといいなあ。
by rinkomatsu | 2007-08-12 16:25 | 旅。
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